フランス語試験 DELF B2 試験準備と結果
この記事では、学校に行かなくてもDELF B2に合格できたので、自分の体験と勉強方法を紹介します。
田舎に住んでいて語学学校がない、子供や仕事など諸事情で学校へ行く時間が取りにくい = 対策ができない、という理由で受験をあきらめてしまう方もいるかもしれません。今回のテストに向けて、独学とスカイプ授業をまじえてテスト勉強をしたのですが、学校に行かなくても自宅で十分準備できることを実感しました。各自に合った勉強方法があると思いますが、勉強以外の、申し込みや当日準備のことも含め、DELF B2 受験を考えられている方、特に独学で試験に挑戦していく方にとって何かの参考になれば嬉しいです。
DELF B2 はどんな試験?
合否で測定されるテストで、聴解、読解、文書作成、口頭表現の4パートがあり、各パート25点が満点。100点満点中50点以上で合格ですが、各パート5点以上取れていることが条件になります。
能力としては下記ヨーロッパ言語共通参照枠(Common European Framework of Reference for Languages:CEFR)のこの→部分です。
(Wikipedia : ヨーロッパ言語共通参照枠より抜粋)
このウィキペディアのページによると、テストは仏検準1級と同等の資格となっています。ただ、日本や日系企業でもない限り仏検は考慮されにくいので、海外で就職や学業を意識している人にはDELFかTCF受験が断然お勧めです。
外国人がフランスの大学・学部入学手続きをするときには、B2は必須、大学院ならC1レベルの証明を求められることもあります。就職活動にもB2以上の語学能力証明を要求されることもあり、フランス国籍取得したかったらB1以上が必須だし、滞在許可証の申請や更新時にも期限や種類によって求められるレベルが違うながらも語学能力の証明が必要になるし、、と語学能力の証明をしないといけない機会がそれなりにフランスに住んでいるとでてくるのです。
費用ですが、2019年マルセイユで受験して100ユーロでした。フランス国内では値段にばらつきがあるので(2019年は100〜180ユーロ程度)、自分の受験会場の費用をチェックしてみましょう。ばらつきがあっても、100ユーロ程度で一生モノの資格なら安い投資と思います。
小さなことですが、受験会場がどんな日程でテストをオーガナイズしているのかを知ることも大切です。会場によっては、2日に試験が分かれます。それを知らずに申し込もうとしたことがあるのですが、旅行の出発日がテスト2日目に当たるかもしれないことが判明し(個人的日程調整は受け入れないとのこと)、その回の受験申し込みを諦めたことがありました。オフィシャルに公表されているテスト日程の前後はあけておくことが必要、とそのときに学びました。
この時はテストを受ける前にやる気をくじかれました。受験校の連絡先リストを見て、受験会場の年間スケジュールや値段を余裕を持って直接問い合わせたり、申し込みは早めにできると変なところで悔しい思いをしないでしょう。(人数が多すぎて申し込みさえできなかった、という人もいると聞きます)。
私は初日が聴解、読解、文書作成のテストで翌日が会話のテストでしたが、他の受験者でそのテストの2日前にすでに会話試験があった、という人もいました。どういうオーガナイズか読めません・・。
テスト準備
・テストを知る
テストに合格するためには、そのテストを知ることがキモですよね。出題形式は固定しているので、どんな時間配分でどんな量や種類の文章を読まされる・聞かされるのかを覚えることは、回答時間の配分を意識するのにとても役立ちます。Ciepのサイトにある公式問題説明とサンプル、よ〜く頭に入れることを強くオススメします。
Exemples de sujets DELF B2 Tous Publics
↑こちら公式サイトです
聴解、読解、文書作成のテストの回答記入は黒いペンのみです。私はカバンを教室の後ろに置いて、黒ペンだけ持って机にいくことができました。修正ペンも持ち込みOKというような情報を何かで見たのですが、私の会場ではできませんでした。修正ペン持ち込みは試験会場によるかもしれないので、日頃から間違わないで回答用紙に書くことを心がけ、ペンで回答を書く練習をしておいた方がいいでしょう。
口頭表現試験の前にテキストを読んでまとめて自分のスピーチを準備する時間があるのですが、この時の筆記用具は特に指定はありませんでした。テキストをまとめるのに色ペンで線を引いていました。黒・青以外のペンを使うとみやすくなります。
それから、私はテスト1日目、聴解、読解、口頭表現、トータル2時間半休憩なしでした。テスト前は水分控えめ、トイレを確実にテスト前に済ませることをお勧めします。
会場によると思いますが、私が受けた会場では、
- 受付で携帯電話を電源を切った状態で没収される(裏に名前シールが貼られる)(テスト終了後に試験会場の教室で返却)
- 教室に入る時は監督官があなた入って、と呼ばれるまで待っていないといけない
- カバンは全員教室の後ろに置き、ペンだけ持って座ったのを試験官が見届けてから次に呼ばれた人たちが入室
- トイレに行く場合は付き添いがないと行けない
と、不正や邪魔が入らないよう管理されているのを感じました。
・自分の現在の能力を知る
テストに向けて自分は何が弱いのか、足りないのかを知ることは大切です。学校に行けないのなら、オンラインで自分に合う時間帯の授業で先生探しをし、客観的に今の自分の能力を見てもらい、足りない部分を強化するのが大切だと思います。私は値段、時間帯、先生の幅の選択が豊富なitalki が使いやすいと思いますが、他にもオンラインのスクールはあるので、テスト受験対策ができる、自分に合った先生を探すことをお勧めします。
特にライティングとスピーキング。テストが近くなったら点数を上げられるのは、間違いなくこの2つ。自分が練習でやったテーマが出る可能性もあるかもしれないし、数を多くこなすと精神的にも少しリラックスします。
無料で書いたものを添削する・してもらうサイトや語学エクスチェンジのサイトを利用、という手もあるのですが、直してくれる人のネイティブ言語のレベルはわからないんですよね。語学の専門家ではない人が直してくれることも多いだろうから、間違っているかもしれないし。料金体系はピンキリあるし、自分の予算と目的に合った語学のプロに直してもらったほうが、テスト対策としてより確実なものになるでしょう。
有料レッスンではプロ・アマチュア、ネイティブ・非ネイティブの先生が選べ、無料のエクスチェンジ・添削ができる友達を世界中から探せるプラットフォームもあります。
・単語力をあげる
語彙を増やし、安定させることは語学力をあげる絶対条件だと言ってもいいのではないでしょうか。その言葉を知らなかったら、読めないし、聞けないし、書けないし、話せないし。語を習得することは、概念習得をすることでもあり、受験をしようと思う前までに、5,000語掲載されている仏日辞書の暗記を終えました。この本の前に仏西なのですが4000語の単語帳暗記もしていたので、これが全体的に効果をあげたと思います。テスト勉強をしていて、最初に暗記効果に気づいたのがリーディング。その後リスニング、ライティング、最後にスピーキングでした。
暗記した本はこちら↓です。
・論理展開の型を覚える
ちょっと小手先になるのですが、テスト近くになって得点をあげやすいのがライティングとスピーキング。この二つを効果的に得点を取るには、問題パターンを知ってどう解答するのか、論理の展開の仕方を覚える必要があります。
B2のライティングもスピーキングも、「序論(導入)、本論(2つか3つの具体例をあげた説明)、結論」の型から外れることはできません。自分の書くことを型通りに決め、そのあと内容をつらつらと書いていきます。
ポイントは、接続詞 (conjonctions) 、前置詞(prépositions)、他の言い方をいくつか覚えて文章にしまりを持たせること。
例えば、理由説明をしたいなら、接続詞で直接法を取るものが、parce que, puisque, comme, étant donné que, vu que, du fait que, d’autant que, etc… 前置詞なら à cause de, en raison de, grâce à, pour, par, du fait de, à force de, etc…、他の言い方なら、car, en effet, etc..など、いくつかあります。
接続詞、後ろに名詞を取る前置詞、または動詞の原型を取る前置詞、とバリエーションあると、似たような文章を書くことを避けることができます。さらに接続詞は接続法を取るものを1つだけ覚えてそれを使えたら、フランス語の文法知識ありますねん、ってアピールできそうですよね。内容は大したことないのに、接続詞と前置詞をしっかり取り入れるだけで、(大したことない内容でも)話を順序立てて展開する文章になるので、バリエーションを揃えて覚えた方がいいでしょう。
私は作文試験に関しては250語以上280語以内で確実に書けるよう、本論は2段落構成・2つの具体例、と決めて書く練習しかしませんでした。3つ具体例を出して書けるといいのですが、3つもアイディアが浮かばないことがあるし、3つ浮かんで書き始めても、どうしても300語を超えて長すぎて削れなくて時間オーバーになって困ったので、途中で2段落構成で行こう、と集中しました。書くアイディアがサッと出てこなくてヤバイ・・と困りがちな人は2つにポイントを絞る練習が使えるかもしれません。
ただ、この2つの具体例作戦は、口頭試験の演説(exposé)には使えません。あまりにも演説が短くなってしまって、2つだけの具体例だと10分程度も引っ張れるほどのネタが続かないのです。同じような主張をしているのに、書くのと話すのは違うものだな、と思った点です。さらに、スピーキングは質疑応答があります。あー、うー、とか沈黙でなく、コミュニケーションを取ることが大切なので、面接官の意見に賛成、反対、と合わせてその理由を意見表明できる方法も知る必要があるでしょう。
また、自分の発表に対して反対意見が出てきたときに、失礼のないよう落ち着いてどう答えるか、知っておくに越したことはないので、このへんの練習はやはりネイティブの先生とした方が確実でしょう。
テスト結果
メールで連絡が来るか、ネットで結果報告を見れるかも、と淡い期待をいただいていたのですが、3週間後に証明書郵送、もしくは学校に取りに来るよう指定されました。正式な合格証は3ヶ月後に郵送、とのこと。結果は国や試験会場によって受け取り方が違います。
私は2019年5月に受験。結果は100点満点中72,5点でした。
読解 12,50/25
作文 25,00/25
聴解 14,50/25
会話 20,50/25
練習では読解と聴解が得意で、作文と会話は苦手・・だったのですが、結果は反対だったのが意外でした。得意なはずの分野で点数が取れてないのが残念な一方、作文が満点だったので嬉しいです。テスト準備に時間をかけた順に点数が比例していました。
長くなってきたので、試験対策に使った教材や勉強方法については次回に続けます。
今日の収穫
私のフランス語の勉強は、語学試験を意識しないのが基本姿勢です。でも合格通知が届いてホッとしました。第三者によって自分の能力が評価されると、自分がやってきたことの自信につながって嬉しいですね。ディプロムをとったので気分的に解放された気分ではありますが、自分がこうなりたいと思うレベルはまだまだ遠いですね・・。ツイッターで↓こんな例をみて、納得中。
上智大学池田真先生のCEFRレベルの例えが面白い。
A1: 三輪車
A2: 補助輪付き自転車
B1: 子供用自転車
B2: ママチャリ
C1: クロスバイク
生活で使えるのは最低でもママチャリ、ネイティブと競うならクロスバイクが必要。— 斉藤 智 (@stshsaito) 1 August 2015
私はフランス在住なので、クロスバイクレベルが必要です。テストを意識しないと言いつつ、次にやろうとターゲットにしている教材が終わったらDALF C1にチャレンジするのもありだな、と考えるようになりました。今回のテスト勉強から得た文章や手紙の書き方、論理の展開の仕方、スピーチの進め方は、試験を意識しなかったら全く勉強しなかったと思うので、テストは億劫だけど、多面的に勉強できるいい機会、と気づきました。
日本では仏検の方が有名だと思いますが、海外でフランス語の能力証明といったらDELF /DALF かTCF。TCFは過去に受験したことがあるのですが、有効期限が2年。すでに期限切れで自分のフランス語能力の証明をできるものがないので、今回はテストに向けて準備し、受験しました。
- フランス滞在許可証の更新時にも10年申請ならB1レベル以上の証明が必要(どのタイプの滞在許可証なのかは不明でしたが)、という話をツイッターで見かけた
- マクロン大統領の支持率の低下
- マリーヌ・ルペン率いる極右政党が欧州議会選挙でフランスでは第1党となり、今後の外国人への風当たりが心配
など、移民に対する社会環境の変化は気になるところだし、フランス在住の移民である限り、語学能力証明はいつどこで必要になるかわからないし、持っていることに越したことがないとますます思うようになりました。
アドバイスありがとうございます。 DELFの作成にはFrance Podcastを使います (https://www.francepodcasts.com/)。 試験に合格することを願っています。
こんなサイトもあるんですね。頑張ってください〜!