TEDを使ったフランス語学習とおすすめ動画6選

TEDを使ったフランス語学習とおすすめ動画6選

この記事では、TED動画を使ってできる学習法とフランス語のおすすめ動画を紹介します。TEDで英語のリスニング勉強、というのをよく聞きますが、フランス語学習にもいい教材だと思います。世界的にTEDイベントが普及してきているので、フランス語の動画も数多くアップロードされており、多くのプレゼンテーションが見れます。

「語学の学習を考えて動画を見る=リスニング練習」というイメージがありますが、シャドーイング、音読、動画の内容の要約を話す、など話す練習にも十分使えます。好きな動画の決めの言葉を字幕を見ないでフルで言えるようになると、気分いいですしね。

TED Talksの動画の長さは10分〜20分程度。学習教材としても使えるし、話として興味深いし、自分の心を盛り上げれるし、と一石二鳥な動画が多くあります!

TEDがおすすめな理由

  • 語学学習以外の気づきがある。著名人、経営者、教育者など、その道で一線をいく人たちの個人的な経験をベースにした学びや彼らの目を通して見る社会問題を、本人の熱量も合わせて見ることができます。

 

  • 字幕・文字起こしが見れる。聞けなかったところを、文字で確認することができる機能はとても便利です。知らない単語は聞けないし、字を見て単語を覚えられると聞けるようになり、自分でも使えるようになります。

 

  • 話し方の勉強になる。 プレゼンの仕方を学べます。また、自分がいいな、と思ったフレーズを講演者のように抑揚をつけて読むことで、(シャドーイングでも、音読でも)リズムの勉強にもなります。

 

  • 無料。沢山の動画が無料で見れるので、合わないと思ったら自分の聞きたいテーマを探せばいいし、話を聞きたかったら何回でも見れます。

 

TED動画をフランス語学習に使うには?

  • TED 動画を見る場合、Youtubeサイトで見る方法とTED本家のサイトで見る方法がありますが、2020年3月現在だと、フランス語の動画にはTEDサイトで見れるものと見れないものがあるので、フランス語のTED動画を検索するならYoutubeの方が幅広く視聴できておすすめです。

 

  • TEDのサイトの文字起こしは動画の画面の下にあるのですが、Youtubeだと画面横にあります。話者が話している時に、文字起こしのどの部分なのか、すぐにわかりやすいのもYoutubeサイトの方が使いやすいと思う理由の一つです。字幕や文字起こしによって、知らない単語や言い回しのスペル確認できます。

 

Youtubeで字幕をつけるには、動画の下にある歯車マークを右クリックし、字幕を出す言語を選択します。話者の使う言語以外の言語を字幕選択できる場合もあります。再生速度もここで調整できます。

 

 

Youtubeで文字起こしを見るには、動画の下にある・・・部分を右クリックすると「文字起こし」を選択できます。ここをクリックすると、画面横に文字起こしが出てきます。

 

  • Youtubeビデオを mp3 や wma などの音声ファイルに変換できるサイトがあるので、気に入ったスピーチがあったら音声ファイルに変換して繰り返し聴けます。シャドーイング、ディクテーションに使えますね。2conv.comnなどのサイトで音声ファイル変換が簡単にできます。

 

おすすめのフランス語 TED Talks 6選

気軽に話を聞いてみたいなら・・

Alors on Danse | Stromae | TEDxBrussels

ルワンダ人とベルギー人のハーフで、フランス語圏で大人気のラッパー・エレクトロミュージシャンのストロマエ氏 (Stromae)もTED に出ています。英語ホント超下手なんでスミマセン・・と言って英語でスピーチを始めるのですが、しっかり伝えたいことを伝えていて、とてもいいと思います。でも途中でまどろっこし・・と思うのか、何も考えてないのか、どうせフランス語わかる人ばかりだろうし(ブリュッセルがTED会場)と思ってなのか、自然とフランス語になってしまうあたり、彼のリラックスした人柄と相まって聴衆をつかむ面白いスピーチになっています。フランス語の方が聴衆も反応あるのでさらにやりやすいのでしょうね。10分程度と比較的短めで、フランス語学習の初心者でも楽しめる動画です。彼の音楽を楽しむ動画、と言ってもいいかも。日本語の文字起こしがあります。

 

 

語学学習についての話を聞いてみたいなら・・

Un polyglotte sommeille en vous | Sébastien Roger de Nuñez | TEDxToulouse

フランス人とアルゼンチン人のハーフ、セバスチエン・ロジェール・デ・ヌニェス (Sébastien Roger de Nuñez) 氏によるスピーチ。旅行と人と話すことが好きな彼は、言葉のわからない旅先でも人と話そうと続けていたら、自然と多くの言葉を話せるようになり、今では10カ国語を話し、企業やフランス遠隔地の村で外国語を教えるまで至るようになっているそうです。

彼の勉強方法は、間違いをおそれず、勇気を持って話すこと。100語くらいの基本単語からコミュニケーションは取れるので、全くの初心者でもとにかく話し始めることを推奨しています。アイルランド人ポリグロット有名人、ベニー・ルイス(Benny Lewis)氏のメソッドに似ていると思いました。

○○をしたい(彼の場合は人と話したい)、という動機が常に学習の成功の鍵である、ということをうまく伝えています。

 

「フランス語」についての話を聞いてみたいなら・・

La faute de l’orthographe | Arnaud Hoedt Jérôme Piron | TEDxRennes

フランス語の教師もされていた言語のプロでもあるベルギー人の男性二人、アルノー・オエト(Arnaud Hoedt)氏とジェローム・ピロン (Jérôme Piron)氏のスピーチ。フランス語のスペルの難しさについて語っているのですが、皮肉が聞いて笑えます。私が一番笑ったのは、外国人学習者泣かせの文法ルール、「補語人称代名詞が複合過去の場合、過去分詞は性・数を照応させるの」話。

日本語がメッチャ難しいですが、COD(Complément d’Objet Direct )を表す人称代名詞がavoir+過去分詞の前に来ると、過去分詞は性・数を一致させないといけない、って、よく忘れるアレですよ、アレ!

 

例文:

Avez-vous lu cette recette?
Non, je ne l‘ai pas encore lue. ←このE, フランス語ネイティブでも忘れやすい!

J’ai lu la recette. と、直接目的語が後ろに来る場合、過去分詞に変化はありませんが、これを代名詞に置き換えると、動詞の前に代名詞を持ってくるルールが適用され、さらに女性形の動詞なのでEをつけないといけない(複数形ならs)、という規則です。

 

昔の綴りでは、この直接補語代名詞の性・数一致は動詞の後ろに来た場合にもあったそうですが、変化は中世に起こりました。聖書ライターであった当時の僧侶たち、例文のように目的語であるcette recetteのように動詞のすぐ後ろに目的語がくれば、性・数一致を忘れないのですが、すぐに目的語がなくて長々と形容詞が入って最後に直接目的語がくるような場合だと、名詞の性・数はずっと読まないとわからないので過去分詞の一致がよく抜けてしまったそうなのです。

書いたものは後から修正できない時代、直接目的語が動詞の後ろに来る場合のみ過去分詞の姓・数一致はなし、という綴りに変更となり、でも前に直接目的語が来る場合の性・数一致の変化は変えなかったそうです。

このまま現在に至り、今となってはただの間違えやすいだけの文法になっている・・という話でした。これを聖書の例文で説明するのですが、皮肉がきいていて笑ってしまいます。

フランス語の綴りについて、他にもその論理と使用法についての指摘があるのですが、難しい話だったりするのにユーモアがあってとても興味深く聞けます。観客を説得する、というよりも、人々に考えさせ、笑わせることが狙いのスピーチです。

お二人とも語学の専門家なのに俳優のような掛け合いなので、調べてみたらすでにこのテーマで演劇を実際に上演されています。フランス語圏で3年以上続いているロングラン作品となっており、私も機会があったらぜひ見てみたいです。

少し古いのですが、お二人のお芝居 La Convivialité について書かれたLe Pointの記事はこちらです。

 

なかなか体験できないような話を聞いてみたいなら・・

Oser, c’est gagner ! | Rémi CAMUS | TEDxOrléans

フランス人の究極の冒険家・探検家として有名なレミ・カミュ(Rémi Camus)氏によるスピーチ。世界を旅して自分の限界に挑戦し、乗り越えてきたストーリーを語り、挑戦し続けることを語ります。

彼が挑む限界は、ホントすごいんですよ・・。オーストラリアのメルボルンからダーウィンまでの約5400kmを100日かけて走って横断、メコン川をチベットからベトナムまでの約4400kmを6ヶ月かけて泳いで南下、とか。こういう体をはった体験談は純粋に面白いですよね。

どうやって走り抜けたのか、泳ぎ続けたのかなどの方法、その期間のエピソード、どれをとっても面白くてすごい!と思わずにはいられません。

常に自分の限界をどう超えるのか?、という挑戦経験を聴衆と共有することで、聞いた人に元気を与えるタイプのスピーチです。日常で使われる言葉で話しており、難しい単語が少ないので聴きやすいです。

 

自己啓発に興味があるなら・・

Se libérer du regard des autres en 5 minutes | David Laroche | TEDxGEM

フランス人のダビッド・ラロッシュ (David Laroche)氏は、自己啓発(自信を持ったり、目標達成に役立つような動画作成をしています)の講演者、コーチ、起業家。超内気だったという彼は、今では国際的にコーチングで有名になり、幸福、パフォーマンス、成功をテーマにした研究をしています。ある分野で優れた300人以上の人に直接会い、インタビューをしてきた実績を持ちます。

「5分で他人の目から解放されるには」というスピーチのお題どおり、彼自信がどう克服してきたか、失敗経験を交えて彼が発見したことを語っています。

  • 発見1 : 何かをし続けることで、他人の批判は陳腐なものに変わっていく。なので他人が自分をどう見ようとも、小さな一歩を踏み出し、学び、先に進んでいくことで、自分を誇りに思うようになる。
  • 発見2 : 批判は避けられない。だから、他人がどのように見るかは関係ない。自分の心がふるえることをする。
  • 発見3 : 評価と批判への依存から放たれることによって、大胆になる。

が主なポイントです。

私が好きなのは、「セスゴーディンの出し抜く力・先がわかる人は何を見ているか」などの著作で世界的に有名なマーケティング戦略家、アメリカ人のセス・ゴーディン(Seth Godin)氏にもインタビューをした動画のエピソードです。その動画のコメント欄には、「インタビューを受けている側の話す内容はとても良いものなのに、ダビッドさんの英語が良くない、子供っぽい英語で残念な動画」など、辛辣なコメントが少なくない数でついたそうです。自分の英語は下手だと良くわかっているし、ジョークにすぐに反応できなかったり、とご本人もあまり英語上手くないと自覚しているとは言え、世界的大御所のインタビュー動画にインタビューが下手すぎって内容でないところで馬鹿にされた批判を受けて、ユーチューバーとしては大ショックですよね・・。。こういった凹んだ経験のエピソードを交えて、どんなことを学んだか、お題の他人の目から解放されるための考え方を話されていて、説得力ありました。

導入、主要なポイント3つ(個人の経験例を交えて)、結論、という大変わかりやすいスピーチの構成です。DELFやDALFなどのテストを受験する人には、スピーチ構成について参考にできることが多くあると思いました。

 

社会問題に興味があるなら・・

Championne de France de cyber-harcèlement | Marion Seclin | TEDxChampsElyseesWomen

 

「2016年から、サイバーハラスメントのフランスチャンピオンをやってます」という出だしから始まる、女優、ウェブビデオグラファー、コラムニスト、ディレクター、フランス人フェミニスト活動家でもある、マリオン・スクラン(Marion Seclin) 氏のスピーチ。1年で40,000以上の悪口、強姦、暴力、殺人脅迫などをオンライン上で受けたそうです。

ゴミは無視、というのにも限界があり、無視できる数ではなくなってきます。裁判を起こす、といっても、フランスも手続きの煩雑な国で40,000人を誰か特定し、訴えを起こすのはほぼ無理です。今でも続く嫌がらせの経験や実情、そこから学んだことを語ります。動画へのコメントは、面白かった、など絵文字だけであっても満足や、いつも見ているよ、など存在を少し表してもらえるだけで、コメント欄の荒れ方が少し変わるそうです。例え動画に否定的な意見であっても、個人的な嫌がらせを交えるのではなく、建設的なコメントを書いて欲しいという話、どこの国でも同じだな、と思わずにはいられませんでした。

英語字幕があるので、世界的に現実を知ってもらおうという考えがあるのでしょう。ハラスメントに負けずにフェミニズム推進を発信する姿勢、支持します。

彼女は、Kutooの石川優美さんに重なって見えてきてしまいます。石川さんに対するツイッター上の嫌がらせ活動は本当にひどいのに、それでも声をあげ続けています。同じようなハラスメントに声をあげる、黙らない女性がフランスにもいること、フェミニズム活動家の状況がよくわかる動画です。

 

今日の収穫

フランス語でスピーチの練習が必要になって、イメージを掴むのにTEDを見まくりました。当たり前ですが、何を伝えるかわかって皆さん話しているので話しがうまくて聞きやすいです。

会話の参考になるか?という側面から見ると、TEDは講演なので、会話表現の具体的参考例の多さ、という点では映画やドラマに出てくるフレーズの方が使えると言えるでしょう。でもTEDのプレゼンターは聴衆の心を掴むため、難しい言葉を使っていないことが多いです。表現や言い回しは十分日常の会話にも活かせると思います。TED好きな方、ぜひ語学学習にも使ってみてくださいね。

他にもこれは!と思う面白いTED動画があったらぜひ教えてください。この記事に加えれたらいいな、と思います。

 

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