フランスの小学校2年生、面白いシステムと思ったこと7つ

フランスの小学校2年生、面白いシステムと思ったこと7つ

長男がフランスの小学2年生、CE1 (Cours Elémentaire première année) になりました。1年目ほどの衝撃はないものの、いいことも、わるいことも、驚くことはありますね。きっとこのまま、毎年新年度を迎えるたびに驚きや発見があるのだろうな、と思います。フランスの小学2年生のやっていること、日本のシステムとは違って面白いな、と感じたことをご紹介します。

 

1. 学年混合クラスは義務教育の小学校でも普通にある(地域による)

長男が1年生CPになった時は、2年生CE1と1年生の合同クラス、1年生だけのクラス、とありました。2年生になったら、2・3年生CE1 CE2合同クラス、2年生だけのクラス、1・2年生合同クラス、と3つになりました。いつか単一クラスにならないと教える方が大変よね・・?と勝手に思っていたのですが、よくよく全学年のクラス名簿を見たら、全部の学年に混合クラスと単一クラスが存在することに気づきました。

長男は2・3年生CE1 ・CE2合同クラス。学年が違って教科書も違うのにどうやって一緒に勉強するの?と長男に聞いたら、2年生がやること、3年生がやることを別に説明して、課題をやるんだよ、とのこと。2年、3年と同じ内容を繰り返すことも多いそうなので、(上の学年は内容をさらに掘り下げた学習)、一緒の課題をやることもできることを知りました。日本の学習カリキュラムとはかなり違いますね。

2. 体育の授業の一環として地域性をいかしたヨット講習がある

海が近いこともあって、今年はヨットの授業が2ヶ月ほど毎週あります。ヨットに乗ってやることは、水の中でパニックにならないための講習。実用的です。ある程度沖に出て、ライフジャケット着用して洋服のまま海の中に飛び込むそうです(着替え持参)。この海上講習の後、海、環境、船のことも座学で学び、知育と体育が合わさったいい授業企画だと思います。生徒25人に対し、ヨット2そう、監視員2名、担任の先生1名、子供の着替えを手伝う保護者ボランティア2名。このボランティア、激戦で告知の翌日夕方に申し込んだら、もう締め切りましたよ、と断られました。行きたかった・・

学外の施設を借りてやる体育の授業は、季節や地域にかなり左右され、水泳、スケート、スキーなどがあります。

 

3. 教科書・教材・持ってくるもの、1年間の活動は担任の先生が決める

幼稚園の時から感じていましたが、小学校に入っても同じなこと。それは、やる気のある先生に当たると活動が多くて楽しくなるけど、やる気ない先生だとアクティビティの少ないつまらない年になること。

衝撃だったのが、先に書いた体育の一環としてあるヨット講習は全員の子供がやれるわけではないことです。先生の積極性が問われるそうで、授業活動は税金でまかなわれている=全員に 同じ機会が与えられるわけではない、ということにびっくりしました。公立の学校の話です。

勉強だけ教えればいい、という先生もいれば、活動を色々取り入れたい、という先生もいて、学校生活の質が先生によってかなり変わるなんて、ちょっと宝クジみたい・・。 

同じ学年であっても、クラスが違えば違う教科書を使っていることも普通です。(教科書は学校から貸与。ワークブックは無償で提供される)学校に持ってくるもの、と指定されるものも先生によって変わるし、担任の先生に采配を振る権利が大きく与えられているな、と思います。

 

 

4. 手帳を買ってやるべき宿題スケジュールを書く

9月始まりの手帳がよく売ってるよな、と思っていたら、学生がこれを使うんですね。しかも小学生も。2年生になって用意するものリストに入っており、ここに宿題や明日の予定リマインダーを書いてきます。特に指定はないので、好きなものを買っています。長男が買ったものは日付の下に名前があるのですが、これは聖人暦(日付に特定の聖人を関連付けたカレンダー)で、その日の聖人が書いてあります。

書いたノートをチェックしてくれるのは1年生まで。2年生以上は何も手伝ってくれないので、小学校の任意保護者で繋がっているFacebookでは「X年生、〇〇先生のクラスの親です。子供が宿題を連絡帳に書いてきませんでした。誰か教えて」「子供がプリントを持ち帰るの忘れてきたので誰か見せて」など親の相互援助をよく見かけます。

小2男子が書く宿題が書いてある手帳↑

これとは別に、学校からのお知らせ、例えば「X月X日はストです、よろしく」「秋休みの直前か直後に成績がオンラインで発表されるから見てね」などは、別の連絡ノート Cahier de lieson に貼り付けられます。

5. 子供の成績をオンラインで見れる

義務教育が始まる小学校からは成績がフランス教育省のオンラインサイトでみれます。1年生の終わりにサイトを知ったのですが、やはり便利です。期末前に成績は紙でも渡されるのですが、休み前に学校へ返却しないといけません。引っ越しや学校を変えることがあっても、前の学校に問い合わせを入れなくても個人の成績を一括で見れるので、保護者も先生も管理が楽になっています。

2019年9月から、フランスは3歳から義務教育(= 幼稚園義務教育)となったので、幼稚園の成績はまだオンラインで見れないのですが、近いうち見れるようになるのではないかと思います。

 

6. 教科書は相変わらず国語と算数のみ、教科書はないけど地理がある

国語教育にがっつり時間をさいています。1年目は綴りと発音記号を覚え、正しく発音を覚えることが中心でしたが、2年生から文法全般、Orthographe(綴り), Grammaire(文法), Conjugaison(動詞の活用), Vocabulaire(語彙), に分かれて学習を進めています。長男のクラスは国語が2冊、オレンジの本が読解(文章問題)、緑の本が文法的なことを学習する本です。これに、年齢にあった薄い読み物が学校から貸与されて、家や学校での音読練習教材となっており、詩の暗記が宿題としてでてきます。

 

算数は足し算・引き算中心。2年生の1番最初にやっているのが、かけ算九九の勉強のように10までの足し算を暗記すること。2年生の教科書を見ると、2桁の足し算と引き算、簡単なかけ算、100から1000までの数字の綴りをかけるようにする、などが学習内容になります。

子どものプリントを見てると、小さい頃から綴り覚えるのが大変だよな、と思います。80はquatre-vingtsでsがつくのに、81以降99までは 81 quatre-vingt-un, 82 quatre-vingt-deux….. 99 quatre-vingt-dix-neuf、とsがありません。

700など百の単位のぴったりの数字はsept-cents、とsがつくけど、例えば、768はsept-cent-soixante-huit、というように、3桁の数字なると、100の単位を示すcentのsが落ちます。

でも千の単位、例えば8000はhuit-mille、とmille にsはつけないのが基本の約束事項。(mille にsがつく超例外もあるのですが、その説明はこちらです)

子供にも外国人にも数字がやさしくないねんフランス語・・。小切手書くときに、これで数字あってっけ?と心細くなる人多いはず。こういう時、漢字の便利さを知っていてよかった!と思います。

 

 それから地理の勉強があります。日本の「社会」のような感覚ですが、教科書はありません。地元の町や県、フランスの話が中心になるそうですが、ヨーロッパ、世界地理についても学習をしていきます。保護者会の話だと、県の都市計画の担当者が年に3回ほど来て、都市デザインの話もしてくれるとか。外部の人を呼ぶのは担任の先生独自のプログラムなのか、学校としてのプログラムなのかよくわからないですのですが、身近なところの最近の様子を実際に聞けるのは具体性があっていいと思いました。

運動が週3回あり、1ヶ月に2回、図書館の時間(本を借りたり読んだり)、コンピューター(タブレットの使い方を覚える)の授業があります。英語もたまにあるのですが、歌や挨拶程度で、教科書を使ってガッツリ勉強はしていません。芸術に親しむ時間、ということで、地理の勉強と絡めて、町にある伝統的な場所や建物などをデッサンしに行く予定が年に数回あります。

 

 

7. 小2の国語の本は外国人の初級者が使う本とは違う

読み物や教科書を見るとわかるのですが、例えば過去形の時制は、近接過去 (venir de 不定詞)、複合過去(avoir / être の現在形 + 過去分詞)、半過去 (nous の活用から -ons をとって、語尾に、-ais, -ais, -ait, -ions, -iez, -aient をつける形)大過去(avoir / être の半過去 + 過去分詞)、とバラエティに富み、未来形、条件法、接続法が普通に文章にでてきます。

小2で学ぶ文法、動詞の活用を本で見ると、基本のêtreとavoir、-er と-ir動詞の複合過去、半過去、現在、未来となっています。

ネイティブは音として聞けば、勉強しなくても活用をすでに知っているし、時制感覚がすでにあるから本は文法やってなくても読めてしまうのよねぇ、と改めて外国人が勉強する本とは違うやね、と思いました。私たちが、XXは「さ行◯段活用」という動詞活用である、と後付けで文法を覚える感覚に近いのかな?

1番最初に与えられた音読用読み物の本、 La maîtresse est amoureuse ↓。トータル40ページくらいで、2〜3日の間に、1章5〜6ページ読み、理解テストのプリントが宿題として配られます。

文法や語彙を勉強する教科書はこんな感じ↓です。文章があり、横にエクササイズがあります。

今日の収穫

小2になったら、勉強っぽくなってきました。教科書や教材を読んでいると自分のフランス語の復習・勉強にもなって楽しいです。毎日、4〜 5の新しい単語を書いて覚え、翌週月曜日にその前の週の単語を書かせるディクテがあり、書かせて、読ませて、を宿題として日常的にやっています。綴りを覚えるのが辛いフランス語、小さい頃から毎日書いて読まないと覚えないですよね。日本だと毎日の宿題に出てくる、漢字と音読がこれに当たるんだろうな、と思います。フランス語ネイティブ・・、実感中です。

 

1年生に入学した時、親にはフランス共和国教育理念「ライシテ」を理解するためのプリントが配られます。衝撃が大きかったです。その時の話はこちらです。

 フランスの小学1年生、驚く学校システム9つ

 

外国人の私がネイティブの子供の宿題を見るときに苦痛なのが発音関係。それでも自信を持ってやれることのアイディアをまとめました。

フランス小学1年生の音読の宿題。発音の下手な親でも手伝えること4つ

 

フランスの小学生が初めて使う辞書として有名なものの一つ、Larousse juniorを大人の学習者が使ってみた感想です。

フランス語 学習用初めての仏仏辞典 LAROUSSE JUNIOR POCHE

 

フランスに住む子供が実際に使っている学習教材は、大人のフランス語学習者の勉強にも使えます。使えるサイトや教材をまとめました。

子供用フランス語教材で学ぶフランス語

 



2 thoughts on “フランスの小学校2年生、面白いシステムと思ったこと7つ”

  • うわぁ、CE1に進級したって感じがしますねー。
    なんだか他人事なコメントですが、ホントにうちのムスメのクラスの様子を見ている限り、
    やっぱり本当はCE1ってこのくらいのことをするよね、という感想なのです。
    うちの場合、まず教科書は配付されず(予算の都合だそうです)。
    保護者会では先生から、「クラスの人数が多いし、レベルの問題でCE1の全てのプログラムはやれないかもしれない」とのコメントあり。
    スポーツのクラスはこの3週間何もなし。
    宿題はCPのときより少なく、あってもCPのときより簡単。
    クラスで習っていることも大してないそうで、親としては不安です、、、、、

    家庭学習として、CE1の教科書を自己負担でも購入した方がいいのか、迷ってます。

    • なんと!教科書が配布されないなんてことがあるんですね。
      クラスの人数が多いとレベルにばらつきが出て、教える方もどのレベルに標準を合わせて授業をすればいいのか?と教える方も大変になるのはなんとなく想像できますが、プログラムを全部やれないかも、と言われたら、それは困りますね。
      宿題が簡単なのは、下の方のレベルの子に合わせているからであって、進んでいる子には退屈かもしれませんね。CPの時より簡単、となると親が心配になるのはもっともです。同じような不満を抱えている保護者は他にもいそうですね。

      不足部分は家庭でやるか、諦めて方針を受け入れるか、となりそうで、難しい話ですね。ムスメちゃん、しっかり自立していそうだし、教科書学習を家で進めるのもありそうです。ただ、それを見てあげる大人の時間の確保が大変になりそう。

      学校・先生の困った話を聞くと、今年はラッキーでうまくフランス学校教育のいい部分にはまっている感じですが、いつ困った話が自分のところにやってきてもおかしくないと思います。こういう次は自分にあたるかも、という不安定感、ちょっと心配です。

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