フランス語の多読に。レベル別読み物初級〜中級者向け(A1-B1レベル) 15作品
“文章は難しくないけど面白い!”フランス語のおすすめ読み物探し
何かの外国語を勉強しているときは、その言語で書かれた本を積極的に読むように心がけています。本を選ぶときには
- 自分のレベルにあっている?
- 厚くない?
- 日本語で読んでも楽しめそう?
- 自分が興味を持てる内容?
を大事なポイントにして読み終えれそうなのを読むようにしているのですが、選ぶのもなかなか難しいものです。自分の興味ある本=自分のレベル、にはならないことが多いので。フランス語の学習用の読み物だけでなく、普通の小説なども含めてレベル別にまとまったリストないかな、と探していたところ・・。
以前バルセロナに住んでいた時に公立の語学学校に通ってドイツ語を習っていたことがあり、そのドイツ語科のサイトには毎年授業に使われるテキストとレベルに合った読み物が公開されていたのをふと思い出し、フランス語科のページをみたら・・。ありました、いいリスト!今回はそのリストから初級〜中級者(A1〜B1レベル)のクラスで使われている作品をご紹介します。
フランス語 レベル別の読み物一覧
スペイン全土にある公立の語学学校は、バルセロナだけでもいくつかの校舎があり、校舎や先生ごとに提示しているテキストと読み物が違います。下記が2017-2018年用Vall d’Hebron(ヴァル・デ・エブロン)校の読本リストの一部です。思っていたよりも、学習用ではない普通の文学作品が多くありました。(緑色アンダーラインが作品タイトルです):
PRIMER(A1クラス)
岩波文庫から「完訳ペロー童話集」で邦訳が出ています。よく知られた「眠れる森の美女」「赤ずきんちゃん」「シンデレラ」などがあります。キンドルだと110円なのが嬉しいです。
Pascale Paoli. Hachette社のLFF(Lire en Français Facile)シリーズは、CDつきのフランス語学習者用読み物。初級者から本があり、A1、A2、B1、B2の4レベルの学習者用の読み物があります。この本はA1レベル向け。読み終わった後には理解ができているかをチェックする問題集もついています。難しい単語やフレーズの定義がページの一番下にあります。”マルセイユで、若いアルゼンチンの画家、マティアスが消える。マティアスはどこにいるのか?彼は危険にさらされているのか?アンドレとロラは彼を探しに行く。その間、マティアスは奇妙な冒険をすることになる… “
Pascale Paoli. 上記と同じHachette社のLFFシリーズA1レベル向け。”ジャックはブルターニュの灯台監視人として最後の夜を過ごす。 翌日、彼の息子エルワンが一日遊びに来る。 しかし、彼の父親はいない。エルワンと友人タンギはボートで気絶しているジャックの父親を見つける。 彼らは、彼に何が起こったのか探り始める。・・”
Marine Decourtis. こちらも同じくHachette社のLFFシリーズA1レベル向け。”推理小説が大好きなレイチェルはある日奇妙なビデオメッセージを受け取る。パリを舞台に妙な捜査訓練をするシリーズ最初の作品。 彼女はこの奇妙な対話者が誰かを突き止めることができるのか・・?”なんとなく想像つくストーリーではあるのですが、レイチェルの人柄や場面場面での心情が伝わってきて思ったより面白く読めました。外国語学習者用の読み物、特に初心者用はつまらないことが多くて読む気が失せてしまうものもあるのですが、これは嫌になることなく読めました。
SEGON (A2クラス)
5. Le Petit Nicolas
フランスでも小さい子に人気の鉄板プチ・ニコラシリーズ。小学生くらいの若い読者向けの本ですが、友達のこと、学校のこと、学校から帰ってからのこと、など、実生活によく使われる言葉を使ってユーモアを交えて書かれています。このシリーズ嫌いな人いないんじゃないですかね・・。かわいい話です。
6. Jean-louis Fournier, Il n’a jamais tué personne, mon papa
医者である父親の話を息子よってシンプルに少しナイーブに語られた物語。”医者に払うお金をない人を診察するけど、いつも酒はおごってもらう地方都市の医師であるお父さん。疲れて酔って日々を終えるお父さんは、お母さんを殺して、次に僕を殺すとたまにいう。なぜなら僕は長男で父さんの好みではないから。彼は性格が悪かったのではなく、沢山飲んだときに少しおかしくなっただけ。彼は誰も殺したことがない、と自慢していた・・”。
7. Eric-Emmanuel Schmitt, M. Ibrahim et les fleurs du Coran
邦訳「モモの物語」。「イブラヒムおじさんとコーランの花たち」という題名で映画化もされています。劇作家としても名高くゴンクール賞の審査員にも選ばれているエリック=エマニュエル・シュミットの作品。”パリ、60年代。 12歳のユダヤ人の男の子モモは、ブルー通りの古いアラブ食料品店の老主人と友達になった。しかし、外見は誤解を招く:食料品店の主イブライム氏はアラブ人ではない、ブルー通りは青ではなく、子供はユダヤ人ではないかもしれない…?。”少年の人生経験をベースに人種差別、死、老化、初恋、憎しみ、反ユダヤ主義、育児など普遍的テーマが書かれています。
8. Ying CHEN, Les lettres chinoises
亡命、遠距離恋愛、その果てがわかる文通書簡。”物語の舞台は上海。ユアンとササの2人の若者は愛し合っている。 しかしユアンは自分の国で自分を異邦人と感じるので、モントリオールに移住することを選ぶ。 亡命することが生きにくさを変える解決策とは思えないササはユアンの後を追わないことを決める。 愛は遠距離を超えるのか・・?”
TERCER(B1クラス)
9. Constantine, Barbara, Tom petit Tom tout petit Tom, Tom
“トムは11歳。 彼は若い母親ジョスと古いキャラバンで生活している。 ジョスはパーティーに行くことと稼いだ金で整形手術を受けることしか頭にない。彼女はパーティや週末旅行に友達と出かけてしまうので、トムは一人で過ごすことが多い。トムは食べるためになんでもしなければならず、捕まることを恐れながらも、定期的に近所の野菜畑から食べ物を盗んでいる。ある晩、食べ物を手に入れようと新しい畑をウロウロしている時に、キャベツ畑の真ん中で倒れていた93歳のマドレーヌの上に転んでしまう。彼女は立ち上がれないため、泣いていた。小さなトムがそこを通りかからなかったら、確実に死んでいたはず。不安だったが彼女を助け、彼女の入院中に家を掃除し、動物に餌をあげ、彼女の手伝いをする。・・”
12. Levy, Marc, Et si c’était vrai
邦訳「夢でなければ」。処女作を対象としたフランスの文学賞、ゴヤ賞(Prix Goya du premier roman) 2008受賞作品。映画化もされています。”ある一人の男、アーサーだけに存在する女性を想像してみてください。 彼だけが彼女を見ることができます。サンフランシスコのどこかで昏睡状態、幽体離脱したローレンを想像してみてください。男と透明な女のラブストーリーを想像してみてください。 レストランで彼女と食事をするには? どうやって彼の友人に紹介できる? 単純に彼女を愛する方法は? “
http://www.eoibcnvh.cat/llibres-text-frances
【今日の収穫】
いかがでしたか?読んでみたい本は見つかったでしょうか?リストを見てみると、学期に一度は何かの本を読むようになっています。改めて、作品を楽しみながら多読して勉強を深める方法、とてもいいな、と思います。
この公立の語学学校のサイトで紹介されている読み物は、外国人用に書かれたものでない普通の書物も沢山提示されているので、フランス語だけでなく英語やドイツ語、その他の言語を勉強している人にも参考になると思いました。
A1〜B1 レベルくらいの本で会話や手紙のコミュニケーションの勉強ができる作品はこちらです。
→ フランス語のコミュニケーションを読書から学ぶ – 小説5選
B1アッパーレベル からC1クラスの読み物リストにも面白い文学作品がたくさん出ています。
続きはこちらから→ フランス語の多読に。レベル別読み物中級〜上級向け (B1-C1)20作品
なかなか読む時間が取れない方にオススメなのが聴く読書。オーディブルが使いやすく続けやすいです。こちらの記事も合わせてどうぞ→。Audibleをフランス語の勉強に使うには?挫折しないコツ7つ。
独学で始めたフランス語。初級者の時に使って役に立った教材や辞典をまとめた記事は下記になります。
- フランス語 独学初級者用の学習書・アプリ・サイトのまとめ
- フランス語 学習用初めての仏仏辞典 LAROUSSE JUNIOR POCHE
- フランス語文法書 Grammaire Progressive du Français 全シリーズを使ってみた感想
動画を使ったフランス語学習に興味がある方はこちらをどうぞ。
フランス語の多読用書籍は英語に比べて少ないので、関連サイトは有り難いです。但し、欲を言えば、レベルA1~B2などと書かれていても、そのレベルがどれくらいか判らないので苦労します。アマゾンで英書を検索すると「Look inside」とあるので、当該書籍が自分が読めるレベルかが判明します。amazon f.も「feilleter」を一度見たことはありますが、極めてまれです。確かに、Mondes en vf.にはA2、B1とあるので、もしこれらが共通の基準を持つなら、だいたいの自分のレベルはわかります。もし、サイトにご紹介いただいている書籍の最初の10行くらいの仏文を掲載していただけたら、大変ありがたく存じます。もし今後、ご掲載いただく際に可能でしたらで結構ですが。
Yoshinori Yamazakiさん、
こんにちは。コメントどうもありがとうございました。
A1,A2,B1というレベルはヨーロッパ言語共通参照枠 (Common European Framework of Reference for Languages : 長いのでCEFRと略)というヨーロッパ全体で外国語の学習者の習得状況を示す際に用いられるガイドラインになります。ヨーロッパだと語学学校のクラス編成や自分の能力を示すのに、この指標を使うことが多いです。Mondes en vfというサイトは、連絡先を見るとフランスで運営されているので、基準は同じと考えて大丈夫だと思います。
Kindleになっている本であれば、Amazon frでも「無料サンプルを送信 Envoyer un échantillon gratuit」があるのでサンプルを数ページ読めると思います。Google Boooksでも電子書籍化されていない本が少し立ち読みできたりすることが稀にあるので、こちらも参考になるかもしれません。
今後書籍のご紹介をさせていただく時には、なるべく引用文を原文で入れるようにしてみますね。