フランス語で読んでみる日々の生活を少し幸せにする秘訣 Ta deuxième vie commence quand tu comprends que tu n’en as qu’une

中年の危機?
英語にミドルエイジクライシス(中年期の危機)、という言葉がありますが、同じ内容がフランス語ではLa crise de la quarantine(40代の危機)という言葉があります。35歳〜50歳くらいで男女ともにおちいる人が多いそうですが、どこの国でも、このくらいの年頃になると
- 仕事やキャリア
- 配偶者との関係
- 子どもの自立
- 両親の老化または死亡
- 自身の老化(しわ、白髪、老眼、閉経など)による身体的変化
が重なり合って心理的に危機を感じることが多くなるのは同じですね。
私は10年以上過ごしたスペインからフランスに小さな子供を二人抱えて引っ越して、仕事やキャリアを新しい言語環境で築くのに苦労しています。20代、30代は仕事また探せばいいか、と言語環境や仕事の変化、多少仕事にブランクがあってもそういうもの、と思っていましたが、40代という年頃だからなのか、職業的に落ちつかないとどうにも不安です。
5歳の長男に、「ママの鼻の横にせん(豊れい線)があるよねー」とさっくり老化を指摘されても、「わかってるっちゅーの(怒)!!」とこちらはしょうがなく割り切れるのですが(苦笑)、仕事とキャリアの話はどうにもわりきれないものがあります。
いつまでも若くはいられないのよね・・と思った時に、本棚にあって目に入った本がありました。
「第二の人生は人生は一つしかないと理解したときに始まる」
長いフランス語タイトル”Ta deusième vie commence quand tu omprends que tu n’en as qu’une”の直訳なのですが、この妙に心に引っかかる絶妙なネーミングにひかれて発売してすぐに勢いで買ってしまった本。そのまましばらく積んで読んでいなかったのですが、その間に超ベストセラーとなり、すでに20ヶ国語以上に翻訳され、邦訳も「人生を変えるレッスン」というタイトルで出版されています。
話の主人公はアラフォー38歳の女性カミーユ。結婚していて、子供がいて、仕事があって、と世間の思う「幸せ」全ての条件を手に入れているように見える生活。けれど、なぜか幸せを感じることができない。そんなとき、ルティノローグ(ルーティーンの専門家)と名乗るクロードに会い、彼のメソッドに沿って考え方を変え、言動を変え、行動を変え、幸せを実感していくようになる、という内容。自己啓発的な内容を物語で読めます。
アラフォー女性、と自分と同世代の女性によくある具体的な悩みに対するアドバイスなので、実践してみようと思ったことがいくつかありました。心に残った箇所をご紹介します。
目標を立てるときはSMARTで考える
体重が自分の理想より4kgオーバーのカミーユ。そのダイエット目標を立てるときのメソッドとして目標設定するときにSMARTを取り入れる、が教えにありました。具体的には、
S : Specifique はっきりしていること (最後の目標はコレ、とはっきり自覚)
M : Mesurable 測れること (成果を数字で測れること)
A : Atteingnable 手に入れられること(実現可能な方法で定義され、一連の到達可能な目的に分けること。手に届かない星にしてはならない)
R : Réaliste 現実的であること (やる気を持ち続けるために、自分の特性や能力に沿ったものであること)
T : Temps 期限を設けること。(いつまでに、といった目標達成期限を決めること)
ダイエットだけでなく、資格試験などにも使えそうなメソッドです。
嫌な人と話さないといけないときはFETEを伝える
カミーユが彼女の夫と険悪な関係の時に教わった話。「機関銃」のように相手を責め立てるのではなく、自分の気持ちを静かに話すこと。緊張したり不快な状況が生じた場合は、相手に明確な要求をすること。
そのためには、下記をしっかり伝えること
F : Faits 事実−自分を困らせた事実
E :Émotion 感情−自分がどう感じたのか
TとE : Terrain d’Entente 和解の中間地点−改善の提案、両当事者のための解決策を提案
自分のパートナーだけでなくても、色々な人間関係においてこれができればしっかりとした話し合いができそうです。
大きな幸せは空からくる。小さな幸せは努力からくる。
先に出てきたFETEを聞いて、夫は離婚を叫ぶほど怒っているのだからそんなのできるわけがない、!と否定するカミーユにクロードが言った言葉。中国のことわざだそうです。なりたい状況や状態があるのなら、まずは少しでも努力をしないと。
ネズミにエサをやるのをやめる
他人が誰も気にしないような外見について気にするより、もっと自分のうちにあるものに目を向けた方がいい、というクロードの言葉に、鏡を見るたびに自分をブスだと思いつづけると思う、というカミーユ。そんな彼女にクロードが教えた言葉。
不安、コンプレックス、間違って信じているようなこと、を彼はネズミと呼んでいるのですが、これらのネズミにさらに餌をあげるようなことをするのをやめなさい、という教えです。どうせ私なんか、相変わらずブスだ、など、ネガティブワードを自分に与えることは、自分のマイナス感情をさらに確信に変えていくだけなので、達成したいと思うことはより達成しにくくなるよ、という話。
今日の収穫
この主人公の悩みはとても現実にありそうなことが多いので、どううまく折り合って解決していくか、具体的に参考になると思いました。
この本の主人公のように早く簡単に(?)ものごとうまくいかないかもしれませんが、読んだ後は素直にポジティブになれる本でした。日々のやり方を、簡単なことから少し変えることで、後々大きな変化に繋がってくることありますからね。
彼女は子供が一人おり、それで満足しているので二人目は望まない、と夫に伝えたときにかなり失望され逆ショックを受けます。一人っ子だとかわいそうだ、・・とよく言われ、夫に失望され、フランスの出生率2,01人を私もなんで達成しなければいけないのよ!と社会的なプレッシャーが主人公をナーバスにさせる話です。これはフランスあるあるだなーと思いました。フランス社会に生きると、どんな点でイライラしてくるのかもわかる作品です。
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義両親と同居がうちはわりとうまく行っていると思っているのですが、そのコツについて書いた
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